2014年12月20日に公開された『百円の恋』。(R15指定)

監督・武正晴。主演・安藤サクラ。

第39回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞。安藤サクラさんは最優秀主演女優賞を受賞しています

また、第88回アカデミー外国語映画賞の日本代表に選ばれた作品です。

あらすじ

斎藤一子(安藤サクラ)は32歳にもなって、実家に引きこもり、自堕落な生活を送っていた。離婚し、出戻り中の妹の二三子と衝突を繰り返す毎日だったが、ひょんなことから2人は大ゲンカになり、一子が家を出ることに。あてもお金もない一子は、仕方なく、100円ショップの深夜労働を始める。そこは、様々な問題を抱える、個性豊かな底辺の人間たちの巣窟だった。一子の唯一の楽しみは、近くのボクシングジムで練習をする一人の中年ボクサー・狩野(新井浩文)を見ることだった。ある日、100円ショップに来た狩野からデートに誘われた一子は、初めてボクシングの試合を見る。それは狩野の引退試合だった。殴り合い、肩を叩き合う、ボクシングの試合に一子は強い羨望を抱き、自らもボクシングを始める。一方、引退試合で負けた狩野は自暴自棄になり、深夜の100円ショップに転がり込んでくる。そんな狩野を介抱するうちに二人は体を重ねるようになり、二人の生活が始まる。しかし、すぐに狩野は帰ってこなくなる。悔しさと情けなさと怒りを静かにぶつける様に一子は、どんどんボクシングにのめり込んでいく。「百円程度の女」だった自分を奮い立たせるために。そこに見出したのは、仄かだが、確かな希望だった。
負けっぱなしの人生から這い上がろうとする女と挫折を経験した男の、再生の物語。

監督・キャスト

監督:武正晴
脚本:足立紳

キャスト:
斎藤一子・・・安藤サクラ
狩野祐二・・・新井浩文
斎藤佳子(一子の母)・・・稲川実代子
斎藤二三子(一子の妹)・・・早織
斎藤孝夫(一子の父)・・・伊藤洋三郎
岡野淳(コンビニ店長)・・・宇野祥平
野間明(コンビニ店員)・・・坂田聡
佐田和弘(コンビニ本部社員)・・・沖田裕樹
小林(ボクシングトレーナー)・・・ 松浦慎一郎
ホームレス・・・芹澤興人
豆腐屋・・・桝木亜子
西村(コンビニ店員)・・・吉村界人
藤村京介(狩野の対戦相手)・・・和宇慶勇二(プロボクサー)
迫田彩美(一子の対戦相手)・・・白岩佐季子
斎藤太郎(二三子の息子)・・・若林瑠海
?・・・藤原季節
青木ジム会長・・・重松収
池内敏子(元コンビニ店員)・・・根岸季衣

主題歌はクリープハイプ「百八円の恋」

感想(ネタバレ)

恥ずかしながら、安藤サクラさん出演作品を初めてちゃんと観ました。

そして、ファンになってしまった作品です。

「斎藤一子」が愛おしくなってしまうのは、安藤サクラさんの圧倒的な存在感あってこそかもしれません。

映画の終わり方も、個人的に嫌いではありません。

以下からは、ネタバレも含めて印象に残ったことを書いていきます。

自堕落な一子はキッカケを探していた

32歳になっても実家に引きこもる一子(安藤サクラ)。

妹・二三子(早織)との大喧嘩を機に実家を出ていくことになったが、そこから意外?にも真面目にコンビニバイトを始めてる。コンビニの研修も真面目。

一子は、元々だらしのない人間ではなかったのかもしれない。でも、自分に自信のないことが、自堕落な生活にさせてしまったのかもしれません。

変わりたい、何か変わるキッカケを探していたのかも。

コンビニで買い物時にレジ横の募金をするのは、社会に生きる自分の存在意義を確かめているようにも映りました。

(ちなみに、募金箱にお金を入れたあとに、店員の顔を見るのが可愛かった。)

狩野祐二も同じタイプ

狩野祐二(新井浩文)も、一子と同じように、自信が持つことができない男。そして逃げる男。

「断られる気がしなかった」理由で一子をデートに誘ったり。

「カッコイイ。」と言う豆腐屋の女性に乗り換えてしまったり。

また、一子に試合を観に来てほしいと言われた時のセリフ、

「好きじゃねえんだよな、一生懸命のヤツ見るの。」

きっと、変わっていく一子を見ると、自分が惨めに思えてしまうからかもしれません。

だらしない男だけど、そんな行動が、ちょっとわからなくもないところがあるから、憎めないし、心が痛い。苦笑

もやし1本だけ食べる一子

父・孝夫(斎藤孝夫)と居酒屋でお酒を交わしながら実家の話をしているシーン。

一子は父に、

「おまえ、ちょっと変わったな。」

と言われると、気恥ずかしそうにしながら、もやし炒め?のもやしを1本だけ食べます。

細かな演技ですが、今まで交わしたことない言葉、認められたような気がした時の心理状態を表現していて、可愛らしく感じました。

きっとハッピーエンド

思い切りネタバレになりますが。

一子は試合には負けてしまいました。

映画を見た人は、勝ってほしいと思った人もいるかもしれません。

負けてしまって逆にリアル、という感想もあったかもしれません。

私個人は、負けてよかったと思いました。(映画的に)

試合後、一子は泣きながら何度も「勝ちたかった」「勝ってみたかった」と言います。

負けたことで、自分に自信が持てなかった一子が、前をしっかり向いていることを象徴するセリフに感じました。

また、一生懸命な一子を受け止める狩野も、一歩前に進んだことを表しているのではないでしょうか。

一子と狩野がよりを戻したことが良かったのではなく、

ふたりが、自分を受け入れて前に進もうとしたことが「ハッピーエンド」と感じました。